Nephrologist

腎臓内科医を対象とした抄読会の内容をお届けします。どのように論文を吟味し臨床に役立てるのか意識することで、論文は知識をupdateする情報ではなく、臨床力をupgradeするツールとなります。

赤身肉の摂取は、末期腎不全のリスクか?

Red Meat Intake and Risk of ESRD.

J Am Soc Nephrol. 2017;28:304-312. 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27416946

 

1.背景   

CKD患者においては、蛋白質(特に動物性蛋白)の制限による腎保護効果の可能性が示されている。一方で、一般人口における蛋白質(または赤身肉のような特定の蛋白源)の摂取がESKDのリスクとなるかは明らかではない。

 

2.論文の定式化(PICO/PECO)

P:45~74歳の一般住民

E:赤身肉の摂取が多い※ 

C:赤身肉の摂取量が少ない 

O:ESKD発症

※1 赤身肉の摂取量を四分位(Q1-4)で評価

※2 総蛋白摂取量と、蛋白源としての赤身肉, 鶏肉, 魚介, 卵, 乳製品, 豆類に分類して評価

 

3.研究デザイン & 統計解析

前向き観察研究(population-based cohort)

生存時間分析(Cox回帰)

 

4.結果の吟味

シンガポール在住中国人60198名が対象。登録時のESKD, 癌患者は除外。平均56歳, BMI 23, DM1割, 高血圧2割, 喫煙3割, 週30分以上の運動3~4割。

平均蛋白摂取量(g/日)は 53.1±10.3(Q1)~65.3±9.0(Q4)。

 

観察期間中央値15.5年でESKD発症951人。

ESKD発症リスク:

①蛋白摂取と正相関(量依存性に有意でない)

調整HR(Q4+3+2 vs Q1): 1.24[95%CI 1.05-1.46]

②赤身肉摂取と正相関(量依存性に有意)

調整HR(Q4 vs Q1): 1.40[95%CI 1.15-1.71]

③豆類摂取と負の相関(有意性はborderline)

 

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 研究結果は妥当なものか?(内的妥当性) 

①赤身肉の摂取量は正しく評価されているか?

実測ではなく質問調査に基づいており、蛋白質や赤身肉の摂取量が必ずしも正しく評価されていない可能性がある。ただし先行研究で妥当性が示された食事質問票を用いている。

蛋白質や赤身肉の摂取量は登録時に評価され、その後の摂取量の変動は考慮されていない。

 

②赤身肉摂取量が異なる群間で背景は同等か?

摂取量の少ない群で運動習慣の頻度が高く、野菜・果物の摂取量が多い。また、登録時のCr値やGFRは測定されておらず、腎機能の群間差は不明である。

 

②赤身肉摂取量とESKD発症の関連は妥当か?

解析では年齢, 性, 民族, 教育水準, 喫煙, 飲酒, BMI, 運動習慣, 既往疾患, 蛋白源別摂取量(赤身肉, 鶏肉, 魚介, 卵, 乳製品, 豆類, 野菜, 果物)等の多くの調整変数が用いられているが、調整が不十分な可能性は残る(residual confounding)。

ベースの腎機能が不明であり、結果に影響しうる(赤身肉摂取が多い群でベースの腎機能がもともと低下している可能性が否定できない)。 

本研究は観察研究であり、介入として赤身肉の摂取を減らすことがESKD発症の改善に役立つかはわからない。

 

自分の患者にあてはまるか?(外的妥当性)

本研究はアジアの一般成人が対象であり、人種やBMIといった背景は日本人に近い。しかし、健常者が対象であり、CKD患者に対する赤身肉摂取の影響についてはわからない。

 

コメント

本研究では、赤身肉摂取が量依存性にESKD発症のリスクである一方で、総蛋白摂取量が量依存性にESKD発症のリスクではなかったことから、摂取する蛋白質の内容・質が腎予後に影響する可能性を示す点で、非常に興味深い研究です。しかし本研究は介入研究ではなく観察研究であり、またベースの腎機能が評価されておらず群間差も明らかでないことから、因果関係の評価と臨床への応用については慎重を要します。蛋白源として赤身肉の摂取が腎障害を引き起こす機序については検討が必要です。

 

参考文献 

①②赤身肉とCKD発症の関連を検証した論文(米国ARIC/イラン)。①は関連あり②は関連なし。人種や食習慣の違いが影響しているかもしれない。③④食物による酸負荷とCKD発症, ESKD発症の関連を示した論文(米国ARIC/NHANES)。動物性蛋白の過剰摂取が腎臓によくない根拠となる可能性あり。⑤WHOの報告。やや古いが健常者の蛋白必要量について詳説。一般成人の蛋白制限は推奨していないが、そもそも一般成人の蛋白摂取量として0.83g/kg/日を推奨。

Dietary Protein Sources and Risk for Incident Chronic Kidney Disease: Results From the Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Study. J Ren Nutr. 2017;27:233.

Dietary Acid Load and Incident Chronic Kidney Disease: Results from the ARIC Study. Am J Nephrol. 2015;42:427.

High Dietary Acid Load Predicts ESRD among Adults with CKD. J Am Soc Nephrol. 2015;26:1693.

⑤Protein and amino acid requirements in human nutrition. Report of a joint FAO/WHO/UNU expert consultation (WHO Technical Report Series 935). http://www.who.int/nutrition/publications/nutrientrequirements/WHO_TRS_935/en/

高齢者における腎不全治療の方針は、予後と関連するか?

Treatment Plans and Outcomes in Elderly Patients Reaching Advanced Chronic Kidney Disease.

Nephrol Dial Transplant. 2018 [Epub ahead of print] 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=29562353

 

1.背景   

高齢社会において透析導入患者の年齢は上昇傾向にあり、75歳以上の透析患者は国際的に全体の30%以上を占めている。高齢者腎不全に対する腎代替療法のより良い選択・決定には、その予後についての把握が必要である。特に透析を希望しない、あるいは治療選択を先送りにする高齢患者での予後は明らかでない。

 

2.論文の定式化(PICOPECO

P:75歳以上でeGFR20以下の患者

E:治療方針として

 ①未決定(stable)

 ②医師の判断で非導入(ND-Ne)

 ③患者の意志で非導入(ND-Pt)

C:治療方針として透析導入(dialysis)

O:全死亡(透析導入の有無は考慮せず)

※副次アウトカム ①透析導入 ②導入前死亡 ③導入後死亡

 

3.研究デザイン 統計解析

多施設共同前向きコホート研究

生存時間解析(Coxモデル, Fine-Grayモデル)

 

4.結果の吟味

高齢腎不全573名(フランス), 平均82歳, eGFR14(中央値) 

登録時の方針: stable40%, dialysis38%, ND-Ne12%, ND-Pt9%

平均観察期間34.5月で 透析導入288名(50%), 透析導入前死亡37名(42%), 透析導入後死亡178名(31%), 5年生存率27%

 

登録時の方針と全死亡に関連あり。

(ただしKM曲線のみで調整HR記載なし)

 

登録時の方針と ①透析導入 ②導入前死亡 にも関連あり。

①ND-Ne 調整HR 0.02(95%CI 0.003-0.14 vs Dialysis)

②Dialysis 調整HR 0.28(95%CI 0.17-0.45 vs ND-Ne)

 

透析導入患者の事前方針:dialysis82%, stable9%, ND-Pt8%

ND-Pt群で年齢が高く、緊急導入やカテーテル挿入での導入が多いが、死亡リスクは有意に高くはなかった(調整HR1.54 95%CI 0.84-2.85)。

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研究結果は妥当なものか?(内的妥当性) 

①治療方針の異なる群間で背景は等しいか?

登録時のND-Ne群, ND-Pt群で年齢が高く、行動異常, 痴呆, ADL低下の頻度が高い。透析導入患者の解析でもND-Pt群はより高齢で緊急導入やカテーテル挿入での導入が多い。

 

②腎不全の治療方針と死亡の関連性は妥当か?

治療方針を医師が確認しており、患者・家族の意志を正しく反映していない可能性がある。また経過中に方針変更となった患者の影響も考慮が必要である。少なくとも、方針決定・変更におけるプロセスについては明らかではない。

群間の背景が十分に調整されていない可能性がある(総死亡をアウトカムとした主解析では群間の患者背景は全く考慮されていない)。

治療方針選択におけるバイアス(indication bias)が大きく、因果関係の推論は困難である(方針として透析リスクの高い患者は非導入、元気な患者は透析導入となる可能性がある)。

 

③本研究のアウトカムである「死亡」をどう捉えるか?

後期高齢者が対象であり、死亡リスクの解釈が臨床的に極めて重要である。治療方針による終末期の予後の差が、患者・家族の意志やQOLにどのような影響をもたらすのか、本研究の結果からだけではわからない。

 

自分の患者にあてはまるか?(外的妥当性)

フランスの高齢者が対象で人種や社会背景が日本と大きく異なることから、日本人に同様にあてはまるかわからない。また、腎臓病患者を対象としており、一般内科医が診ている高齢患者の治療方針と予後については言及できない。

 

コメント

この研究は、深刻化する高齢社会における腎不全治療・ケアを考える上で、示唆に富んでいます。高齢者腎不全に対する治療方針が生命予後と関連しているとは言え、5年間で4割が透析導入前に死亡、5割が透析導入、そして透析導入の6割(全体の3割)が透析導入後2年以内に死亡という状況で、患者さん、家族、医療者にとって、この結果がどのような意味をもつのか、より重要なアウトカムは何なのか、プロセスはどうあるべきなのか、十分に吟味する必要があるでしょう。完全なパターナリズムはもはや時代錯誤ですが、患者さん・家族の意向を尊重し適切な情報を提供した上で、よりいい形で治療方針を指導(誘導)してあげられることも、臨床医の力量の1つかもしれません。

 

参考文献 

①高齢者では透析後の身体機能が大きく低下する可能性あり。②高齢者の血液透析HD)では透析時間を除くとHD導入後の実質的な生活時間の延長効果は乏しいかもしれない。③75歳以上の高齢腎不全患者では、保存的治療と透析治療で生命予後の差はないかもしれない。④高齢者の透析に関する論文のCommentary。問題提起として的を射ている。⑤高齢透析患者の透析離脱や緩和ケアに関する論文。高齢者の透析導入と併せて検討すべき重要な課題である。

 

① Functional status of elderly adults before and after initiation of dialysis. N Engl J Med. 2009;361:1539.

② Is maximum conservative management an equivalent treatment option to dialysis for elderly patients with significant comorbid disease? Clin J Am Soc Nephrol. 2009;4:1611.

③ Survival of elderly patients with stage 5 CKD: comparison of conservative management and renal replacement therapy. Nephrol Dial Transplant. 2011;26:1608.

④ Mortality in the Elderly on Dialysis: Is This the Right Debate? Clin J Am Soc Nephrol. 2015;10:920.

⑤ End of Life, Withdrawal, and Palliative Care Utilization among Patients Receiving Maintenance Hemodialysis Therapy. Clin J Am Soc Nephrol. 2018;13:1172.

NAFLDの患者は、CKD発症のリスクが高いのか?

Development of Chronic Kidney Disease in patients with Non-Alcoholic Fatty Liver Disease: A cohort study.

J Hepatol. 2017;67:1274-1280. PMID: 28870674

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28870674

 

1.背景   

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とCKDの関連について数多く報告されているが、縦断研究は少なく対象者も限られており、NAFLDとCKD発症の関連性は明らかではない。

 

2.論文の定式化(PICO/PECO

 

P:18歳以上の非CKD患者 ※1

E:NAFLD ※2

C:非NAFLD

O:CKD発症(CKD-EPI式でeGFR<60)

※1 eGFR≧60かつ蛋白尿<1+(2回以上測定)

※2 超音波診断/viral, alcoholic肝炎は除外

 

3.研究デザイン 統計解析

後ろ向きコホート研究, Cox回帰モデル

年齢, 性, 喫煙, 飲酒, 血圧, 血糖, 脂質異常にて層別解析

 

4.結果の吟味

41430名の健診受診者(韓国)が対象, CKDは除外, 平均49歳, 男61%

平均BMI24, eGFR91, 非喫煙49%, 適度な飲酒55%, DM7.4%, 高血圧24%

 

中央値4.2年間でCKD発症691名(1.7%)

非NAFLDでのCKD発症率 2.8/1000人年

NAFLDでのCKD発症率 4.7/1000人年

NAFLDの方がCKD発症リスクは高くNAFLDの重症度とも関連。

HR1.21(95%CI 1.03-1.44)(層別解析で交互作用なし)

 

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 研究結果は妥当なものか?(内的妥当性) 

① NAFLD群と非NAFLD群で背景は等しいか?

性, BMI, 喫煙歴, DM, 高血圧といった患者背景が群間で異なっており、交絡要因として予後に影響しうる(NAFLD群の方が男, 喫煙歴が多く、DM, 高血圧の併存も多い)。

 

②NAFLDは正しく評価されているか?

超音波検査に基づいており肝生検による診断、重症度分類ではない。またベースラインでの評価であり、その後の経過は不明。

 

③ NAFLDとCKD発症の関連性は妥当か?

NAFLDとCKD発症の関連について、多くの調整因子を用いて多変量解析を行っている。しかし観察研究のため調整が不十分である可能性(residual confounding)は残る。またアウトカムがeGFRであり、その後の治療としてRAS阻害薬やSGLT2阻害薬の使用や、体重・筋肉量の変化によるeGFRへの影響は否定できない。

NAFLDのCKD発症への影響はハザード比として相対的に有意であるが、絶対的なリスクはそれ程大きくない(CKD発症率の群間差は1.9/1000人年)。

 

自分の患者にあてはまるか?(外的妥当性)

本研究は韓国の健診受診者が対象で、人種やBMIといった背景は日本人に近い。CKD患者は本研究の対象外であり、CKD患者へのNAFLDの影響はわからない。

 

コメント

アジア人を対象としてNAFLDとCKD発症が関連する可能性が示されました。本研究は観察研究であり、NAFLDがCKD発症にどれほど直接的に関与するのか慎重な評価を要します。また、そのインパクトを過大評価しないことも大切です。しかしNAFLDはmultifactorialな病態が背景にあり、他のCKD発症リスクとの併存も多く、腎臓内科医が診療上配慮すべき重要な要素であることに変わりはありません。同様に、NAFLDの改善や進行抑制がCKD発症にどれだけ予防的に働くかは本研究からはわかりませんが、NAFLDの発症・進展に関与する肥満, DM, 高血圧, 脂質異常といった病態に対して適切な対応が必要なことは論を俟たないでしょう。ただし、NAFLDがCKD患者に及ぼす長期的影響(腎予後, 生命予後)については改めて検討が必要です。

 

参考文献 

①は国内ガイドライン。CKDの関連についても言及。②は総説。よくまとまっている。③は観察研究のメタアナリシス。NAFLDとCKD発症の間に有意な関連あり。④はCKD患者(eGFR<60または蛋白尿あり)のNAFLDと腎機能低下の関連についての観察研究(本論文と同じグループからの報告)。⑤は肝移植後の腎機能に関する論文。NASHを原因とする肝移植患者では非NASHと比べ腎機能が低下(NASHそのものよりも背景にある病態が腎機能低下に関与する可能性を示唆)。

 

①  NAFLD/NASH診療ガイドライン2014. 日本消化器病学会. https://www.jsge.or.jp/guideline/guideline/pdf/NAFLD_NASHGL2_re.pdf

② CKD and nonalcoholic fatty liver disease. Am J Kidney Dis. 2014;64:638. 

③ Nonalcoholic fatty liver disease increases risk of incident chronic kidney disease: A systematic review and meta-analysis. Metabolism. 2018;79:64. 

④ Nonalcoholic fatty liver disease accelerates kidney function decline in patients with chronic kidney disease: a cohort study. Sci Rep. 2018;8:4718. 

⑤ Renal function in patients undergoing transplantation for nonalcoholic steatohepatitis cirrhosis: time to reconsider immunosuppression regimens? Liver Transpl. 2011;17:1292. 

 

生体腎移植ドナーは妊娠高血圧・妊娠高血圧腎症のリスクが高いのか?

Gestational Hypertention and Preeclampsia in Living Kidney Donors.

N Engl J Med 2015;372:124-133.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=29571833

 

1.背景   

2004年のアムステルダムフォーラムでは腎移植ドナーの妊娠はリスクが高くないと述べられていたが、その後の研究では妊娠高血圧や腎症のリスクについて指摘されている。

 

2.論文の定式化(PICOPECO

P:腎移植ドナーの適格基準を満たす女性

E:腎移植ドナー

C:腎移植ドナーではない(非ドナー)

O:①妊娠高血圧または腎症の発症 ②母体・新生児予後 ※

帝王切開, 分娩後出血, 早産, 低出生体重, 母体死亡, 死産, 新生児死亡

 

3.研究デザイン 統計解析

後ろ向きマッチコホート研究(観察研究)

ロジスティック回帰(ランダム効果モデル)

年齢, 初産・経産, 登録から妊娠までの期間で層別解析

 

4.結果の吟味

カナダの観察研究。全対象者の年齢中央値 29歳、経産婦29%。

ドナー群:1992〜2010年にドナーとして腎摘し、follow-up中に1回以上かつ20週以上の妊娠をした85人、妊娠131回(登録前に妊娠高血圧・腎症の既往がある人は除外)。腎提供前Cr0.76 (eGFR114)、一親等ドナー65%。

非ドナー群:健診情報よりドナー適格基準を満たしうる人のうち、妊娠高血圧に関連する因子(年齢, 登録年, 居住地, 収入, 妊娠回数, 登録から初産までの期間)でマッチさせた510人、妊娠788回(1:6のマッチング)。

 

妊娠高血圧または腎症の発症はドナー群で有意に多い(OR 2.4, 95%CI 1.2-5.0)。

帝切, 分娩後出血, 早産, 低出生体重は有意差なし(母体死, 死産, 新生児死はなし)。

層別解析では32歳以上でイベント発症が有意に多い(OR 9.4, 95%CI 3.2-27.5)。

追加解析(Supplement)にて妊娠高血圧・腎症発症と帝王切開の相関あり。 

 

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研究結果は妥当なものか?(内的妥当性) 

① ドナー群と非ドナー群で背景は等しいか?

年齢, 登録年, 居住地, 収入, 妊娠回数, 登録から初産までの期間でマッチしているが、血圧, 腎機能, 尿蛋白, BMI, 内服薬について不明であり、群間差についてはわからない。なお病院受診回数はドナー群の方が多い。

 

② ドナーと妊娠高血圧・腎症発症の関連性は妥当か?

妊娠高血圧または腎症発症の関連を検討する際に、上述の通り詳細なマッチングを行っているが、血圧, 腎機能, 尿蛋白, BMI, 内服薬といった背景は考慮されておらず、交絡調整が不十分である可能性は残る。一方で、グループ特性を考慮したランダム効果モデルを用いた統計解析が行われている。

 

自分の患者にあてはまるか?(外的妥当性)

研究が実施されたオンタリオ(カナダ)は白人が7割を占めるため、日本人で同じ結果となるかわからない。また、年齢が中央値29歳(IQR 26-32)であり、日本で増加傾向にある高齢妊娠については言及できない。

 

コメント

ドナーは条件として厳しい医学スクリーニングを経ているため、一般人口全体と比較すると、健康関連アウトカムは不良ではないことが報告されてきました。一方で、ドナーになりえる健康な人と比較すると、死亡や腎死のリスクが高い可能性が示されています。本研究の結果が、将来妊娠予定の女性がドナーになることを完全に否定する根拠にはならないとしても、ドナーの周産期リスクが健常妊婦と比較して高くなる可能性についてはキチンと理解しておく必要があるでしょう。

 

参考文献 

①②は健康な人と比較すると腎移植ドナーの生命予後、腎予後が不良であることを示した論文。③④は日本とKDIGOの腎移植ドナーに関するガイドライン。④では将来の妊娠可能性だけを理由にドナーになれないわけではないとしつつも、事前の十分なカウンセリングが推奨されている。⑤は無形成腎による片腎の妊婦を対象とした研究。マッチングした両腎の妊婦と比較して有意に母体・新生児予後は不良であった。

 

① Long-term risks for kidney donors. Kidney Int. 2014;86:162.

② Risk of end-stage renal disease following live kidney donation. JAMA. 2014;311:579.

③ 生体腎移植のドナーガイドライン(日本移植学会/日本臨床腎移植学会) http://www.asas.or.jp/jst/pdf/manual/008.pdf

④ KDIGO Clinical Practice Guideline on the Evaluation and Care of Living Kidney Donors. Transplantation. 2017;101(8S Suppl 1):S1-S109.

⑤ Association of Unilateral Renal Agenesis With Adverse Outcomes in Pregnancy: A Matched Cohort Study. Am J Kidney Dis. 2017;70:506. 

 

保存期CKDの体重変化は、透析導入後の死亡と関連するか?

Longitudinal Weight Change During CKD Progression and its Association with Subsequent Mortality.

Am J Kidney Dis. 2018; 71: 657-65. 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=29217305

 

1.背景   

CKD患者の腎機能低下に伴う体重変化についてはよく知られておらず、また保存期CKD患者の透析導入前の体重変化と透析導入後の死亡の関連についても明らかではない。

 

2.論文の定式化(PICOPECO

P:eGFR20-70の成人(CRIC研究※)

E:eGFR<35からESKDの体重変化が-5%/年

C:eGFR<35からESKDの体重変化が ±5%/年

O:透析導入後の死亡

※Chronic Renal Insufficiency Cohort(米国)

(患者登録 2003-8年)

 

3.研究デザイン 統計解析

前向きコホート研究(観察研究)

生存時間分析(Cox回帰モデル)

 

4.結果の吟味

◎保存期CKD患者の腎機能低下に伴う体重変化

3933人の米国CKD患者が対象, 平均BMI 32.1

CKD患者の体重はeGFR<35からが減少傾向

eGFRが年間10減少すると体重は1.45kg減少 (95%CI 1.19-1.70)

eGFR<35で尿中Cre, 血清LDL, Alb, 除脂肪体重(FFM)も減少傾向

 

◎透析導入前の体重変化と導入後の死亡の関連

上記3933人のうち透析導入した770名が対象 観察期間5.7年

平均58歳, 男59%, 黒人54%, 喫煙歴58%, DM68%, 高血圧97%, 心疾患44%

体重<−5%/年のハザード比は ±5%/年と比べ1.54(95%CI 1.17-2.03)

体重>+5%/年のハザード比は ±5%/年と比べ1.09(95%CI 0.66-1.79)

 

上記は米国AASK研究(登録1995-2001年, 黒人1067名, BMI31, 非DM ※)と概ね同様の結果。

※Afirican American Study of Kidney Disease & Hypertension

 

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 研究結果は妥当なものか?(内的妥当性) 

① 体重減少群, 不変群, 増加群で背景は同等か?

本研究では体重減少群、不変群、増加群の背景の違いが記されていない(SupplementにはeGFR35の時点での肥満度の違いのみ記載 ※)。予後に影響しうる要因が群間で異なれば、交絡として予後に影響しうる。

※論文のTable1はCRICとAASKの比較。主解析の群間比較ではない。

 

② 保存期の体重減少と透析導入後の死亡の関連性は妥当か?

保存期の体重減少と透析導入後の死亡の関連を検討する際に、年齢, 性, 人種, 収入, DM, 高血圧, 心疾患, 喫煙歴 を調整変数とした多変量解析が行われているが、他の背景要因は考慮されておらず、調整が不十分である可能性(residual confounding)は残る。

本研究は観察研究であり、介入として体重減少を防ぐことが透析導入後の予後改善に役立つかはわからない。

 

③ 暴露要因の体重減少は何を意味するのか?

本研究ではeGFR<35での体重減少に伴い、尿中Cre, 血清LDL, FFM, 血清Albも減少傾向にあり、体重減少の原因が栄養障害(Protein Energy Wasting)による筋肉減少である可能性を示しているが、実際はわからない(体水分減少の影響を否定できない)。

体重減少が、食事制限や利尿剤使用などCKDへの意図的な介入によるのか、CKDそのものの自然経過なのか、わからない。

 

自分の患者にあてはまるか?(外的妥当性)

本研究は米国のCKD患者が対象であり、人種やBMI、社会背景が日本人と大きく異なることから、日本人に対して同じ結果が得られるかわからない。また、予後解析は透析導入患者を対象としているため、透析未導入のCKD患者の予後については言及できない。

 

コメント

透析患者ではBMIが低いほど予後不良でありReverse Epidemiology/Obesity Paradoxとして知られています。本研究では、より早期の保存期CKDにおけるBMI低下が、透析患者の死亡と関連している可能性が示されました。透析患者の予後改善のために透析導入前(保存期CKD)からの介入が有効なのかは、この観察研究からはわかりませんが、今後の腎臓病ケアを考える上で示唆に富む内容です。腎臓内科医として保存期・透析・移植といった縦割りの治療・ケアを積極的に見直す時期かもしれません。

 

参考文献 

透析患者のBMIと予後に関するReverse Epidemiology(RE)の論文は多く①は年齢・透析歴によらず、②は人種によらず、REを示している。③は日本の透析患者でREを検証した論文。Cr値(筋肉量)による交互作用を示唆している。④は透析導入前(保存期CKD)の状態・変化と透析導入後の患者予後の関連についての総説。よくまとまっている。

 

① Effect of age and dialysis vintage on obesity paradox in long-term hemodialysis patients. Am J Kidney Dis. 2014;63:612.

② Mortality predictability of body size and muscle mass surrogates in Asian vs white and African American hemodialysis patients. Mayo Clin Proc. 2013;88:479.

③ Serum Creatinine Modifies Associations between Body Mass Index and Mortality and Morbidity in Prevalent Hemodialysis Patients. PLoS One. 2016;11:e0150003.

④ Transition of care from pre-dialysis prelude to renal replacement therapy: the blueprints of emerging research in advanced chronic kidney disease. Nephrol Dial Transplant. 2017;32(suppl_2):ii91.

肥満のCKD患者に対して、減量手術は腎機能を改善するか?

Estimated GFR Before and After Bariatric Surgery in CKD. 

Am J Kidney Dis. 2017; 69: 380-8.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27927587

  

1.背景   

Bariatric Surgery(減量手術) は長期的に減量を維持でき、肥満関連健康障害の改善効果も良好であることが高いエビデンスレベルで証明されているが、CKD患者における減量手術の腎機能への影響を検証した報告はない。

※ 本邦では腹腔鏡下スリーブ胃切除術(SG)が2014年に保険収載され、6ヶ月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られないBMI≧35かつ糖尿病・高血圧または脂質異常症の1つ以上を合併している患者が適応。

 

2.論文の定式化(PICOPECO

P:CKDstage3~4の肥満患者

E:減量手術あり(手術群)                        

C:減量手術なし(非手術群 / 紹介のみ)

O:eGFR(CKD-EPI式)の変化量

※Roux-en-Y胃バイパス術(RYGB) vs SGも検討

 

3.研究デザイン 統計解析

後向きコホート研究(観察研究)

傾向スコア(PS)マッチング (eGFR, 年齢, 体重, 性, 人種, 高血圧, DM)

経時測定データを用いた線形混合効果モデル

 

4.結果の吟味

1428人の米国肥満CKD患者が対象(手術あり714人/なし714人)

平均58歳, 女性77%, 非ヒスパニック系白人56%, 体重135kg, BMI 44

DM67%, 高血圧91%, Cr1.5 (eGFR50), RAS阻害薬の内服6~7割

 

手術vs非手術:手術群で1年後35kg減量, 3ヵ月後ΔeGFR+15.0

RYGB vs SG:RYGB群の方が体重減少, 3ヵ月後ΔeGFRの差+4.4 

術後(紹介後)3年間のeGFR変化:手術群>非手術群, RYGB>SG

術後(紹介後)30日間の再入院率:RYGB8% vs SG7% vs 非手術7.5%

 

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研究結果は妥当なものか?(内的妥当性) 

①手術と非手術、RYGBとSGで背景は同等か?

本研究は観察研究であり、手術群と非手術群の背景が異なることを前提に、ベースラインのeGFR, 年齢, 体重, 性, 人種, DM, 高血圧を変数とするPSマッチングを行っているが、群間差は残存している。これに対し多変量解析を行い、上記の変数を調整因子として考慮している。RYGBとSGの群間差についても同様。

 

②eGFRは腎機能の指標として適切か?

本研究では手術群と非手術群の腎機能(eGFR)の経過を比較しているが、手術による減量には急減な筋肉量低下を伴うため、筋肉量を反映するCr値で推定されるeGFR (CKD-EPI式) を腎機能の指標として比較するのは適切とは言えない。RYGB群とSG群の比較でも、両群で減量効果が異なることから、同様の理由で腎機能の比較妥当性は担保されない。本テーマで研究を行う際にはGFRを実測するか、筋肉量を反映しないCys-Cを用いたeGFRを腎機能の指標として用いるのが望ましい。

 

③減量手術による腎機能改善は妥当な推論か?

PSマッチに加え多変量解析による結果でも、手術と非手術、RYGBとSGの群間でeGFRに有意な差(手術、RYGBの治療効果)を認めた。しかし血圧、尿蛋白、HbA1cといった因子は考慮されておらず、背景要因が十分に調整されていない可能性がある。また本研究では、手術治療の効果を推定しているが、手術の選択に伴うバイアス(indication bias)も大きく影響していると考えられるため、手術治療そのものが腎機能改善に直接寄与するのかはわからない。

 

自分の患者にあてはまるか?(外的妥当性)

本研究は米国のCKD患者が対象であり、人種やBMIが日本人と大きく異なるため、日本人を対象に同様な結果が得られるかはわからない。

 

コメント

本研究は、前後比較ではなく対照群を用いて減量手術の効果を示した点で有意義です。しかし①手術選択に伴うバイアス ②アウトカムの不適切性 の点から、推論の妥当性が高いとは言えません。①は観察研究での治療効果の推論には治療選択に伴うバイアスの影響を排除できず、評価には慎重を要します。②は血清CrによるeGFRは筋肉量の影響を強く受けるため、両群の腎機能を適切に比較できません。肥満による腎障害には病態としてhyperfiltrationが関与しており、減量手術後は糸球体ろ過圧が減少し、短期的にはGFR低下が予想されますが、本研究では手術後早期にGFRがむしろ上昇しています。これは単に筋肉量低下の影響で見かけのeGFRが上昇した可能性があり、腎機能そのものの変化なのかわかりません。減量で多くの健康関連指標が改善しますが、減量手術そのものが肥満CKD患者の腎機能を改善させるかどうか、本研究から結論づけるには限界があります。

 

参考文献 

①は減量手術の効果についてRCTに基づいたシステマティックレビュー(SR)。腎機能に関しては言及なし。②は減量手術の腎機能への効果についてのSR。ただし対象論文はすべて前後比較の観察研究。③は総説。よくまとまっている。④は減量手術後の腎機能の変化を見た論文。糸球体ろ過圧の低下を裏付けるように、1年後のRPF, GFR, ACRはともに低下した。

 

① Surgery for weight loss in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(8):CD003641.  

② Effects of Bariatric Surgery on Renal Function in Obese Patients: A Systematic Review and Meta Analysis. PLoS One. 2016;11:e0163907.  

③ Bariatric Surgery and Kidney-Related Outcomes. Kidney Int Rep. 2017;2:261. 

The effects of weight loss on renal function in patients with severe obesity. J Am Soc Nephrol. 2003 Jun;14(6):1480-6.  

コーヒーを摂取している人は、CKD発症のリスクが低いのか?

Coffee Consumption and Incident Kidney Disease: Results from the Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Study.

Am J Kidney Dis. 2018;72:214-22.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=29571833

 

1.背景   

コーヒーを適度に摂取していると、糖尿病、冠動脈疾患、悪性腫瘍などの慢性疾患や死亡のリスクが低いと報告されているが、コーヒー摂取と慢性腎臓病(CKD)の関連性ははっきりしていない。

 

2.論文の定式化(PICOPECO

P:一般成人(45~64歳)

E:コーヒーを飲む ※

C:コーヒーを飲まない

O:①CKD発症 ②末期腎不全(ESRD)発症

※ 1日あたり 1杯未満, 1~2杯未満, 2~3杯未満, 3 杯以上に分類

 

3.研究デザイン 統計解析

前向きコホート研究(観察研究)

生存時間分析(Cox回帰モデル)

性, 人種, 喫煙, DM, 身体活動度, DASH食 ※ にて層別解析(交互作用を検討)

※ Dietary Approaches to Stop Hypertension

 

4.結果の吟味

14209人の米国一般住人(白人と黒人のみ)が対象(ARIC研究)

CKD患者は除外, 患者平均 約54歳, BMI約28, Cr約0.7, eGFR約104

コーヒー摂取なし19%,<1杯 21%, 1-2杯 25%, 2-3杯15%, ≧3 杯 19%

 

24-5年間でCKD3845名(27%), ESRD281名(2%) 

コーヒー摂取が多いとCKD発症リスクは有意に低い。層別解析で交互作用なし。

コーヒー摂取とESRD発症リスクの関連は、多変量解析にて有意差なし。

 

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 研究結果は妥当なものか?(内的妥当性) 

①コーヒー摂取量は正しく評価されているか?

実測ではなくインタビュー調査に基づいており、コーヒー摂取量が正しく評価されているとは限らないが、訓練された問診者が詳細な質問票を用いて2回評価している。なお、コーヒー摂取量はベースラインで評価され、その後の摂取量の変動は考慮されていない。

 

②コーヒー摂取が多い群と少ない群で背景は等しいか?

性、人種、学歴、BMI、併存症、喫煙歴、飲酒歴などの患者背景が群間で異なっており、交絡要因として予後に影響しうる(コーヒー摂取量が多い方が男性、白人が多く、高学歴で、糖尿病や高血圧の併存は少ないが、一方で喫煙者や飲酒者も多い)。しかし、これらの要因は、統計解析上、調整変数として考慮されている。

 

③コーヒー摂取とCKD・ESRD発症の関連性は妥当か?

コーヒー摂取とCKD・ESRD発症の関連を検討する際に多変量解析で調整をしているが、背景因子として尿蛋白は考慮されていない。また観察研究のため、多変量解析を行っても調整が不十分である可能性(residual confounding)は残る。ただし、コーヒー摂取量が多い群で喫煙者が多いことから、必ずしも効果を過大評価するバイアスだけではない。

コーヒー摂取とESRD発症の関連は調整後に有意でなかったが、ESRD発症数が少なく統計学的パワーが不足していた可能性はある。

コーヒー摂取がCKD発症のリスクを下げる(腎保護的に働く)機序が明らかでない。成分のカフェインは腎血流の増加に影響しているか?コーヒー摂取量が水分摂取量を反映して、単に脱水予防が腎保護に影響した可能性はないか?

 

自分の患者にあてはまるか?(外的妥当性)

本研究では米国の一般住民が対象で、人種やBMI等の背景が日本と異なり、同様の結果となるかわからない。また、年齢は45~64歳に限られている。CKD患者は本研究の対象外であり、CKD患者へのコーヒーの影響はわからない。

 

コメント

本研究の結果からすると、CKDでない人がコーヒーを摂取することは、腎保護の観点から悪いことではなさそうです(CKD患者に関してはわかりません)。しかし本研究は観察研究であり、コーヒーが腎保護的に働く機序も明らかでないため、結果の解釈には慎重を要します。少なくとも「腎臓病の一次予防としてコーヒーを摂取した方がよい」と結論づけることはできません。このような食品に関する研究では、結果が誤って解釈・報道されることがしばしばあるため注意しましょう。

 

参考文献 

①は白人を対象として、②は白人以外を対象として、コーヒー摂取が良好な生命予後と関連することを示した観察研究。なお①ではカフェインフリーのコーヒーでも同様な結果が得られている。③はコーヒー摂取と腎臓病発症との関連について4つの観察研究を統合したメタ解析。この解析では有意な結果は出ていない。

 

Association of Coffee Consumption With Overall and Cause-Specific Mortality in a Large US Prospective Cohort Study. Am J Epidemiol. 2015;182:1010.  

② Association of Coffee Consumption With Total and Cause-Specific Mortality Among Nonwhite Populations. Ann Intern Med. 2017;167:228. 

③ Association of coffee consumption and chronic kidney disease: A meta-analysis. Int J Clin Pract. 2017;71:e12919.